安全管理の徹底強化を 危機管理対策〜テロ対策と水質監視〜

近年、油や農薬などの有害物質による水質汚染や、テロなどの人的災害により、原水の安全性が見直されている。また、一昨年九月の米国の同時多発テロ以降はテロ対策の必要性が高まってきている。更生労働省も、これまでオープンだった施設に対しても水源監視や覆がい化、施設警備を推進する一方、水質の安全管理に水質監視(バイオアッセイ)を強化するよう通達を出しており、危機管理の徹底、情報収集や連絡体制の強化を要請しているところ。そこで今回、国の危機管理対策への考えとともに、大小様々な事業体への取材、寄稿を通じて、バイオアッセイなど具体的な取り組みや水道監視への現状を紹介する。

危機管理対策への考え    更生労働省水道課長 谷津龍太郎

一昨年の世界同時多発テロを契機にテロ対策の必要性が高まっています。水道は、今日では地域住民の健康と生活のみならず経済活動を支えるライフラインとなっており、安全な水の安定供給に責務を有しております。更生労働省は、水道とあわせて医療、医薬品、食品安全など国民生活に密接に関連した分野を所管していますので、テロの対応についても重要な役割を担っています
このため、国内でのテロ事件発生に備えた各種対策について、テロ発生直後の一昨年に通知して、体制整備を要請しました(平成13年10月4日付科発第四三八号等大臣官房厚生科学課長、医政局長、健康局長、医療局長、医療局食品保健部長連盟通知)。また、一年後の昨年十月には、対策の再点検を要請しました(平成十四年十月二十九日付科発第一〇二九〇〇三号等連盟通知)。
その中で、水道に関しては、水道に関する危機管理と情報収集や連絡体制の整備に分けて、対策を明らかにしています。水道施設の警備については、@水源監視の強化、浄水場、配水池の水道施設の警備の強化、防護対策の確立を図り、バイオアッセイなどによる水質監視を徹底すること、Aまた、水道施設関係者などの管理の一環として、来訪者、施設出入業者の管理の徹底を図ること、B給水停止措置等の緊急対応の指揮命令系統を明確化し、対応の迅速化等に努めること、C応急復旧体制や応急復旧体制も含めて緊急事態への対応体瀬尾を確立するとともに、これらについてのマニュアルの策定を行い、関係者への周知徹底、緊急事態対応の訓練等を通じた対等体制の強化を図ること、の四点を述べています。
水道は従来から水源監視、ろ過池などの覆がい、浄水場の警備などに取り組んでまいりましたが、昨今の国際情勢を反映した危機管理対策の必要性の高まりを踏まえ、なおいっそうの取り組みが求められています。この通知に盛り込まれた対策を再確認していただき、危機管理体制の一層の整備を図っていただきたいと思っています。
[2003.2.13 日本水道新聞]